2013年度

日本ビジネススクール・ケース・コンペティション JBCC 2013

実施日:2013年8月4日(日)

会場:慶應義塾大学日吉キャンパス

   藤原洋記念ホール

主催:JBCC実行委員会

後援:経済産業省

参加者:(予選)19校 105チーム 382名

    (決勝) 7校   9チーム   36名

来場者:約400名

【審査協力】

・経済産業省 経済産業政策局 産業組織課
・日本ターンアラウンド・マネジメント協会
・株式会社経営共創基盤
・ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー



本選結果

本戦出場チーム(プレゼン発表順)

早稲田大学商学研究科ビジネス専攻 池田チーム

一橋大学商学研究科 木下チーム

筑波大学ビジネス科学研究科国際経営 吉澤チーム

小樽商科大学商学研究科 大参チーム

慶應義塾大学経営管理研究科 榑松チーム

明治大学グローバル・ビジネス研究科 鈴木チーム

早稲田大学商学研究科ビジネス専攻 本吉チーム

早稲田大学ファイナンス研究科 尾上チーム

グロービス経営大学院経営研究科 末崎チーム

 

優勝

一橋大学商学研究科経営学修士コース 木下チーム

木下謙太郎・尾茂田秀一・木川直樹

 

準優勝

グロービス経営大学院経営研究科 末崎チーム

末崎将司・千田はるか・後藤晃・大沢豪

 

ハーバードビジネスレビュー賞

早稲田大学ファイナンス研究科 尾上チーム

尾上剛・塩田裕之・日野清也・神保匠

 


審査員講評

日本ターンアラウンド・マネジメント協会

理事長 許斐義信 様

 

今年の問題の難易度は中程度だった。審査結果は拮抗していた。1次審査も含め「単純にPPMに当てはめて儲ける事業にシフトさせる」、「財務リスクを考慮しない」、「簡単にM&Aを実行する」などの非現実的な回答が少なかった。

 

決勝に出場しなかったチームも優秀で、採点に苦労した。勉強が地に足についてきたと思う。本課題ケースで取り上げた企業は、従業員100人程度の規模であり、電力会社の孫請け的会社なので、現実的にはかなりの意欲持って取り組まないと変革を行うのは難しい会社である。

 

私が実在の企業に行って思うのは、企業は経営的病気だということだ。まず、経営課題をきちんと定義できないことが多い。実行力とか努力、効率の問題等もあるが、経営再建の第一歩は経営課題の定義をしっかり行うことから始まる。その上で、フレームワークを考慮し、定義を決め、どう対処するのかを判断する。

 

経営課題を設定しないと、事業として清算した方がいいかもしれないのに頑張ってしまう場合もでてくる。

本年は、自社の課題をしっかり定義しているかが、自身の評価の基準であった。

 
 

経済産業省

産業再生課長 吉本豊 様

 

JBCC全体を通して、楽しませていただいた。プレゼン資料、シナリオを含め、参加者の質が高かった。PPT職人なら即戦力というレベルであった。普段の努力がうかがえる。

 

私はアベノミクスの第3の矢、成長戦略を担当しており、まさに法案を国会に出そうという段階にある。今、経営者は円高、デフレという大きな問題に直面し、もはや言い訳ができない状態になってきている。2013年度のJBCCの課題ケースは、現代の縮図のような問題であった。ホッパーエレクトロニックだけでなく日本に存在する製造業をはじめ、企業が持つ悩みが盛り込まれていた。

 

MBA生の皆さんには、新たに就職する際に、ビジネススクールや当大会で学んだ知識をもって、経営現場で社長を支え、活躍してほしい。MBAを修了された方が社会に戻り、学びを還元するという循環をつくってほしい。

 

最後に、アベノミクスでは女性戦略の活用が柱の一つに挙げられている。個人的には、女性からしか社会は変えられないのではと思っている。準優勝のチームにも女性がいたが、今後もぜひ頑張っていただきたい。また、本大会で57歳の方が向学心に燃えてMBAで勉強していると聞き、励まされた。個人的に敢闘賞を差し上げたい。

 
 

日本ターンアラウンド・マネジメント協会

役員 日比将博 様

 

よく勉強している。すばらしい、というのが第一の感想である。

 

課題ケースの内容について述べると、本企業は鉄骨加工業からはじまった企業である。建設事業は製造はほとんど他社へ丸投げで発注をしており、同社は鉄工だけを作って納品していると考えられる。従って、建築事業を売却しても大きなリストラ効果はみこめない。樹脂(化学)の部門は鉄骨とは組織文化が違う。この2つの部門は別会社にして事業展開していくべきだと考える。この部分について触れているチームがおらず、残念だった。

 

経営者にとって売上が下がることは苦しいことである。しかしその一方で、事業の縮小は赤字が出てない以上は続けたいというのが通常の経営者の判断である。こういった状況下で利益を出すための施策(グローバル化など)を考えるのが自然ではないかと思う。樹脂事業でグローバル化を行うのであれば、顧客獲得の方法、製造への投資の詳細などに触れているチームがいなかった。実務では、さらに現場の視点を大事にしていただきたいと思っている。

 
 

ダイヤモンド社 

DIAMOND HARVERD BUSINESS REVEIW編集長 岩佐文夫 様

 

私は予選から審査に参加した。応募したチームは皆すばらしかった。また、105チーム人が応募したこともすごいと思う。全組の方に敬意を表したい。

 

今日の投票は接戦で、審査員間で絞り込みの投票が3段階必要なほどであった。改めて、戦略においてリスクを取る大変さを実感した。

 

予選時には課題ケースを読んで、ドイツに売却して明るい事業を進める戦略にも興味があったが、本選には選出されず残念であった。参加された皆さんには、心から敬意を表したい。

 
 

株式会社経営共創基盤

代表取締役CEO 冨山和彦 様

 

今年4回目だがチーム数が増え、どういうコンペか内容が認知されてきたので、参加者の平均レベルがあがり能力差がなくなってきた。今年の課題ケースは過去の問題と比較して、課題設定がやりにくかった。これまでは、資金面で倒産間近の段階の企業の課題ケースが多かったが、今年は異なったため、自分たちで課題から設定する必要があった。

 

今年のケースでは、売上減少の原因が問題であった。市場での鉄塔ニーズは不変であり、製品単価が下がり続けること、仕入れ価格が上がっていることが問題の真因として経営低迷の根底にある。

 

同業界は過去、原価方式(一定の利益を確保できた)が通例であり、のどかな業界であったが、電力会社の設備投資減少という外部環境の変化が起こったことで経営環境が変化した。

 

今後も、第2、第3の波が来ることが想定されている。経営者はその波に向けて身構えておくことが必要である。変化が起きたときに耐えられる体質にしておかないと生き残れない。そのための課題設定が必須である。課題設定のリアル感が全体的に弱かったように感じる。

 

プレゼンテーションはすばらしかった。資料もすばらしい。今年はとりわけよかった。言いたいことがよく伝わった。

 
 

ケース

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JBCC2013ケース - ホッパーエレクトロニック
ホッパーエレクトロニック.pdf
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